2016年08月09日

領土拡大を目指すイスラム国

連日世界中でテロを引き起こしている過激派組織「イスラム国(IS)」ですが、イスラム国は名前から連想されるような正式な国家ではなく、イスラム教スンニ派の過激派組織アル・カイーダから分派した組織です。イスラム国が他の過激派組織と異なるのは、アフガニスタンのタリバンなどは自国での政治的主導権の掌握を目的にしているのに対し、イスラム国はイスラム圏の統一を目的にしている点です。

イスラム国は2020年には西はポルトガルから東は中国の一部まで、つまり歴史上一度でもイスラム教国家が樹立された地域はイスラム圏なので領土として奪還するとしています。彼らは独自のネットワークで世界中から戦闘員を調達してテロ行い、その結果として非イスラム教徒から弾圧されたイスラム教徒の一部もイスラム国に加わるので、EU(欧州連合)の難民規制や米大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ氏のイスラム教徒排除発言は、イスラム国にとっては歓迎すべき現象です。

しかし、世界中からイスラム国に戦闘員が集まる一方で、アメリカやイギリスなどの有志連合の空爆、イラク軍やクルド人の地上攻撃により支配地域は縮小しており、依然世界にとって脅威であることは変わりませんが、その影響力は徐々に減少していると言えます。
タグ:国際情勢
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2016年08月07日

近代化の圧力が強まるサウジアラビア

1月16日、イランが米国など6カ国と”核合意”に達したことで、イランに国際社会へ復帰する機会が与えられ、今迄自国の後ろ盾となっていたにも関わらず相対的に中東における自国の地位を低下させたアメリカに、サウジアラビアは怒っています。サウジは中東・湾岸諸国の中では20世紀に建国された新しい国で、国民はもともとアラビア半島の内陸部で暮らす砂漠の民だったことから、数千年の歴史を有するイランとは国の成り立ちが全く異なります。

サウジはサウード家出身の王族が君臨し、石油などの地下資源から得られる莫大な収入を国民に配ってきた典型的な分配国家で、近年のサウジは王族の一部がアル・カイーダや「イスラム国」などのイスラム原理主義組織に資金援助をしていることでも知られ、そして反イランで連帯するバーレーンやスーダンなどにも資金援助するほどの財力を誇っていますが、その立場を維持できるのも世界最大級の石油産出国だからであり、現在の原油安が続けば財政危機に陥る懸念があります。

仮に財政を維持できても、いずれイランが国際社会の信用を得られるようになれば、比較対象として例えば女性は自動車の運転が禁止されているだとか、サウジ人は大学までの教育費や医療費が無料で住宅も提供してもらえるだとか、若者の失業率が20~30%でありながら肉体労働やサービス業は外国人労働者任せでサウジ人は働く必要がないというような、サウジ社会の特殊性が浮き彫りになってきます。イランという強敵が顕在化した今、外国からの近代化の圧力は強まることになります。
タグ:国際情勢
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2016年08月04日

国際社会へ復帰したイラン

2016年1月16日、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国の6カ国はイランが”核合意”に基づき核開発計画を縮小したことで、経済制裁の解除に踏み切りました。これでアメリカを気にして動けなかった外国企業もイランに再進出できるようになり、イランもようやく国際社会への復帰を果たし対立していたアメリカとの対話の糸口が掴めました。

1971年2月、イラン革命が起きて”反米国家”に変わるまではアメリカとの関係は良好でした。アメリカはペルシャ湾を挟んで睨み合うサウジアラビア(スンニ派大国)とイラン(シーア派大国)を両立させることで、中東地域の秩序を維持しようとしていましたが、イランが反米に転じてからはアメリカはイラクに肩入れします。イラン・イラク戦争(80~88年)ではイラクに武器を供給し、その裏ではイランにも武器を輸出していました。(86年のイラン・コントラ事件)

その後、強国となったイラクがクウェートに侵攻した湾岸戦争(90~91年)では、米国はイラクを攻撃し、サダム・フセイン政権を倒し、政権維持の名目で米軍の駐留が正当化されました。2001年の米同時多発テロ事件以降は、イランが独自に核開発を進めたことから、アメリカはイランを「悪の枢軸』と非難し続けました。

しかしアメリカ側ではなくイラン側の視点から見れば、イランはそもそも反米国家でアメリカと近いイスラエルと敵対し、シリアとは強固な協力関係にあり、さらにはイランと敵対するサウジやイラクにある米軍基地は、揃ってイランにミサイルを向けています。今回の核合意を受けてイランは悲願だった国際社会への復帰が叶いますが、だからと言ってアメリカとの関係が一気に改善するわけではなく、国交正常化までにはまだまだ時間がかかりそうです。
タグ:国際情勢
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