2016年08月02日

陸海の覇権を奪還したい中国

中国から海を見ると、すぐ沖に日本列島から九州、奄美諸島、沖縄諸島が連なり、台湾からバシー海峡を挟んでフィリピン、そして南シナ海には小島や岩礁が点在しており、中国が海に進出しようとすれば、これら沿岸国との衝突は避けられず、尖閣諸島や南沙諸島をめぐる対立は地政学的に見て必然の結果です。秦の始皇帝が中国を統一した2000年以上前から、近代の列強による中国分割を経た今でも中国の覇権主義的発想は変わらず、中国皇帝を頂点とし、周辺諸国に君臣関係を結ばせる中華思想が根底にあります。

経済成長と軍拡で世界の超大国になりつつある中国の現国家主席、習近平が掲げる「一帯一路」は中国から欧州までを陸路の「シルクロード経済ベルト」と海路の「21世紀海上シルクロード」で繋ぐ新経済圏を構築し、経済や貿易の拡大を図る戦略です。南シナ海の南沙諸島や西沙諸島で中国が滑走路を造るなど軍事基地化を進めているのは、これらが海路の出発点となる重要な海域だからであり、領有権を主張するベトナムやフィリピンの言い分は意に介しません。

米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は1月、中国が2030年までに複数の空母を保有すると予測し「南シナは事実上中国の湖になるだろう」という衝撃的な報告書をまとめています。一方、陸路に目を向ければ、ランドパワー大国であるロシアとの連携を強化し盤石の体制に見えるものの、新疆ウイグル自治区など中国北西部では抑圧されたイスラム教徒の不満が燻っており、過激派組織「イスラム国」が昨年11月、中国語で聖戦を呼びかけるなど、中国はその背後に地政学的リスクを抱えていると言えます。
タグ:国際情勢
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2016年08月01日

ロシアの経済を支える販売戦略

歴史上、ロシアは不凍港を求めて南方へと進出することが最大の目的で、国境を接する国々はそれをいかに阻止するかが問題でした。旧ソ連は強大な軍事力を背景に領土拡大を続けましたが、1989年の東西冷戦終結によって動きが止まり、市場主義経済の導入による国家再建の過程で、続々と旧ソ連の衛星国(旧東欧諸国)が独立していきNATOやEUに組み込まれていきました。

これは地政学的に見れば、周縁地帯に意図的に配置してきたバッファー(緩衝地帯)を突破されたのでロシア側は攻め込まれているのと同じですが、そうした防衛戦を余儀なくされる中でもロシアは自国産の石油と天然ガスを他国に販売することでしか国家を建て直すことが出来ませんでした。

ところが、中国が台頭してきたことにより、ロシアはエネルギーの確保を求める中国との相互依存の関係を深めていく中で、地続きの中国だけでなく、日本や韓国にも販売したいと考えるようになり、それが東シベリア・太平洋石油パイプライン構想へと繋がっていきます。このパイプラインと並んで走る天然ガスの供給計画も控えており、ビジネスチャンスの拡大に余念がありません。

ロシアはすでに供給網を完備している欧州向け、内陸を結ぶ中国向け、そして極東を経由する東アジア向けとユーラシア大陸を横断するパイプラインの拡大を目指しており、相対的な国力は低下したものの、東アジアにおけるエネルギー安全保障に貢献している事は間違いありません。
タグ:国際情勢
posted by 河野 at 11:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする